東京から福岡の山奥に移住し、猟師として生活している明神マリア。猟友会の会長・吉中剛太郎と、ここ最近感じている山の違和感について話していた。なぜか、山から獣の気配が消え去っている――、と。手に汗握る猟師…

ことばと出会い、ことばと育ち、ことばを疑い、ことばを信じた。『水中の哲学者たち』で一躍話題となった著者は、ことばに支えられながら、世界を見つめ続ける――。過去から現在までの著者自身を縦断し、読者ととも…

岡山城へ出仕した吉備藩士・滝田蓮三郎は、17歳で永蟄居の身となり故郷の金谷に戻される。そんな蓮三郎に15年ぶりに再出仕が許されるが、その使命はあまりに惨い朝命で――。史実「神戸事件」をもとに、知られざるラ…

世界のどこかで今日も洗濯機をまわしながら野菜を刻み、鍋で煮込むあいだにあわただしく掃除機をかけ、自分や家族の生活を整えているあなたへ贈るエッセイ集。時にじんわり、時に愉快に心を解きほぐしてくれる、大…

1969年、人類が月面着陸をした年に出版社に就職した辰巳牧子は、「週刊デイジー」「別冊デイジー」編集部で働き始める。女性漫画家たちがその若き才能を爆発させ、全国の少女たちが夢中になって読んだ“100万部時代”…

エジプト、カイロ。親に決められた既定路線の人生を歩む新婚の医師ターレクは、ある日魅力的な青年アリーと出会い、その平穏な未来は一変した。保守的な地域での同性愛と不倫は疑惑と波紋を呼び…。喪失と欠落、そし…

1989年５月、彩和と俊輔の結婚を祝う会が開かれた。前の夫を若くして亡くし、必死で幼い娘を育ててきた彩和にとって、それは人生の安泰が約束された幸福な瞬間だったが――。廻り続ける「生」への不安を克明に描きき…

心臓病の専門病院で臓器移植コーディネーターとして働く立花真知。彼女は、五輪金メダリスト候補のフィギュアスケーター・池端麗を担当することになるが…。医師であり、これまでにも医療の現状にメスを入れてきた著…