江戸中期、日本橋瀬戸物町の鰹節商、伊勢屋にんべんの次男に生まれた伊之助。父亡き後、兄を支えて家業に精進するが、度重なる不運が伊勢屋を襲う。心身を病んでしまった兄の跡を継ぎ、三代目となった伊之助は「商人は何のために商売をするのか」という父の問いを胸に、大店の意地を捨てて苦難を乗り越え、商いの真髄を極めていく。江戸商人の心意気を描く傑作。第三回舟橋聖一文学賞受賞作。
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